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研究最前線(2010年9月掲載)

防災・まちづくりの実践に向けて

教授 高木朗義(プロジェクト評価・防災環境計画)
教授 倉内文孝(都市交通計画,交通工学)
准教授 出村嘉史(景域計画・都市形成史)
地域システムデザイン研究グループ

研究概要

 地域システム計画研究室では,防災計画の策定に資する評価分析や、地域活性化のための政策分析など,理論的な研究を中心に進めてきました.一方で,災害に強いまちづくりのためには,住民の皆様の日頃の備えが大切です.そのため,地域に密着し,自然災害を理解し住民の方や自治会が連携して災害に備えるための仕組みづくりや,まちづくりのための支援などを行っています.このような活動を通じ,自然災害の恐ろしさや,自助・共助の重要さを学んでいただき,災害が起こったとしてもその被害が最小限となるような,安心・安全に暮らせるまちづくりの構築に貢献していきたいと考えます.さらに,日常の生活空間となる都市や地域でいかに暮らすのかということは,身の回りの景観を考えることと同じ意味です.豊かな生活の場づくりとして,景観まちづくりの観点からも,地域住民の方々とともに考えて,計画づくりなどをする実践を行っています.こういった背景で行っている最新の活動を紹介します.

岐阜市日置江地区における防災訓練への参加

 岐阜市日置江地区は,長良川左岸に位置し,絶えず洪水の危険性にさらされている地域です.地域システム計画研究室では,2007年より継続的に地域の防災訓練,運動会,DIG(Disaster Imagination Game)訓練に参加し,防災力向上に向けたアドバイスを行うとともに,その実施効果について参与観察を試みています.

【写真】DIG訓練の様子(左上)、要援護者と援護可能な人のマッピング(左下)、運動会における担架リレー(右上)、過去の水害を忘れないための標識(右下)

恵那市岩村地区「ザ・縁日」での防災グッズ工作教室

 地震災害の恐ろしさやそのメカニズムを身近なものを使って理解してもらうことを目的として,2010年8月13日(金)に恵那市岩村地区で開催されました「ザ・縁日」にて防災グッズの工作教室を開設しました.教室では,液状化現象を身近に再現できる「エッキー」,ものの固有振動数について理解できる「ゆらゆら」を自ら作っていただくコーナーとともに,竜巻の再現,空気砲など,子供たちに楽しんでもらえる工作を準備しました.当日は,小学生を中心に,100名を超える参加がありました.

【写真】 ブースの様子(左上)、ゆらゆらを作っています(左下)、エッキーを作っています(右上)、作るだけでなく、その仕組みも簡単に説明しています(右下)

大垣市墨俣町の「がやがや会議」

 2010年5月この研究室の学生有志と中部圏社会人有志のユニット「まちなかま」を結成.大垣市墨俣町の地域まちづくりを根底で支える住民の「本音」コミュニケーションの場をつくるため,毎月1回開催する「がやがや会議(住民が命名)」を始めました.現在はこの場を借りて,墨俣町の景観まちづくり計画を住民の手でつくるためのワークショップを行っています.数十年先を見通すような他所にない具体的で実効性のある計画づくりを目指しています.

【写真】カフェで準備会(左上)、地元のお祭り「天王祭」に参加して短冊に願いを書いてもらいました(左下)、景観まちづくりワークショップの様子(右上)、墨俣風景(右下)