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研究最前線(2011年3月掲載)

安全で安心な国民の生活を目指して

准教授 沢田和秀(地盤工学・斜面防災)
助教 森口周二(地盤工学)
地盤工学研究室

研究概要

 地盤工学研究室では,地盤や斜面の防災技術に関する研究を行っています.土という非常に複雑な材料の挙動を知るために,多種多様な実験を行い,その結果を基に数値シミュレーションにより,地盤災害や斜面災害の危険性を評価します.また,災害対策に用いられる土構造物の性能評価のために,実大規模実験を行うこともあります.さらに,「迅速かつ安価」をキーワードに,地形情報を遠隔から収集する技術や地下構造を把握する技術などについても研究を進めています.これらの最新の研究成果について紹介します.

地形・地下構造計測技術

 地盤や斜面の防災を考える上で,地形や内部の構造を知ることが重要となります.これらの情報を迅速かつ安価に収集する技術について研究を進めています.地形計測については,衛星画像やデジタル写真から3次元モデルを作成する技術や,レーザープロファイラーなど,遠隔から安全に計測できる技術の開発を行っています.また,地下構造を把握するために,各種物理探査技術について研究を行っています.
(右写真左上図:衛星画像から作成した3次元地形モデル,右上図:レーザースキャナーによる地形計測結果,下図:牽引式電気探査の測定の様子と地下構造評価結果の例)

数値シミュレーション技術

 地盤災害や斜面災害の再現や予測をするために,地形や地盤内部構造の評価結果と各種土質試験結果を基に, 数値シミュレーションを行います.地震時の液状化,斜面安定,斜面崩壊後の土砂流動,雪崩,落石などを対象としたシミュレーションツールを開発しています. それらの解析結果に基づいて,効率的な防災対策を提案します.(右写真左上図:有限要素法による斜面の安定解析,右上図:有限要素法による河川堤防の液状化解析,左下図:流体解析による雪崩の流動解析,右下図:SPH法による掘削に伴う斜面の崩壊解析)

実大規模実験

多様化した社会と厳しい経済情勢により,防災対策に用いられる対策工の性能はより高度なものが求められています.このような背景のもと,効率的で安価かつ環境にやさしい対策工を提案し,その性能を確認するために実大規模実験を行っています.これらの実大規模実験の結果に基づいて,土や木などの自然材料を用いた高機能な対策工の開発を目指して研究を進めています.(右写真:落石防護工の実大規模実験の様子)