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研究最前線(2012年2月掲載)

自然環境と調和した土・水系の環境修復を目指して!!

教授 佐藤健(環境地盤工学、地下水工学)
助教 加藤雅彦(土壌学、環境地盤工学)

環境地盤工学研究室

研究概要

 ブラウンフィールドという言葉を聞いたことはあるでしょうか?ブラウンフィールドとは、「有害物質による汚染で本来の資産価値が発揮されず、放置されている土地」のことを指します。環境地盤工学研究室では、有害物質(重金属、揮発性有機化合物)によって汚染された土や水を対象とし、汚染現場の環境修復の実現を目指しています。ここで記す環境修復とは、汚染で荒廃した生物や景観の回復も含みます。限られた国土の中で、ブラウンフィールドを少なくすることが必要と考えるからです。以下の2つに重点を置いて研究を進めています。

植物や有機系・無機系廃棄物を利用した汚染浄化

 汚染地から有害物質を何らかの方法で除去することを浄化といいます。有害物質の中で重金属類はそれ以上分解されないため、浄化する方法として汚染土そのものを掘り出し、汚染されていない土を入れる手法が主に取られてきました。しかしこの方法では大掛かりな工事が必要でコストがかかるなどデメリットも多く、資金的に余力がなくては実施できません。我々は、より簡便で安価で浄化ができるようにするため、植物による自然の力と低コストな廃棄物を利用し、新たな浄化技術の開発に取り組んでいます。(写真:研究中の新たな浄化技術[左:新技術、右:従来技術])

廃棄物を利用した有害物質の拡散防止

 汚染地を浄化できることが望ましいですが、対策後の土地の利用予定や資金状況によっては、有害物質を外に漏出させない方法も対策として必要です。我々は、重金属等の土中での移動性を低下させる資材を廃棄物から開発することに取り組んでいます。下水汚泥からの回収物、生物系廃棄物、木質系廃棄物など多岐に渡る廃棄物を対象としています。(写真:木質系廃棄物から開発した重金属捕集材[左:捕集材、右:重金属捕集後白色に変化])