2025年7月22日
土木学会第71回土木計画学研究発表会(2025/6/7~8)において,ポスターセッションでの学生(博士学生含む)の発表100編から優秀ポスター賞(10編)に選ばれました.
豪雨災害時の住民避難行動における 「避難した/しなかった/できなかった」の比較(伊藤可依都,髙木朗義)
概要:日本国内では,大規模な豪雨災害が頻発し,各地で人的被害が発生している.今後,これらの被害を減少させるためには,非避難者の行動改善を図る必要があり,行動要因の知見を得ることの価値は高い.先行研究では,「避難しなかった」と「避難できなかった」という,異なる状況に置かれた避難行動を,明示的に区分せずに分析していた.本研究では,クロス集計分析を通して,非避難行動の特性の違いを詳細に明らかにした.特に,災害や避難に関する情報認知と自宅の被災リスクの見積を示す特徴量において,避難しなかった人と避難できなかった人は,正反対の選択要因が見られ,「非避難」として一括りにされてきた「避難しなかった」と「避難できなかった」という行動は,本質的に異なる行動であったことが明らかになった.
感染症対策としての道路ネットワーク分割手法の構築(岩田周也,倉内文孝,中村俊之)
近年の新型コロナウイルス大流行のように人類はこれまでに幾度となく感染症の脅威に直面してきた.また,感染症の脅威は人類だけにとどまらず家畜にも及んでおり,大量の家畜が殺処分されてきた.これまで,感染症対策としての交通規制や消毒ポイントの実施箇所の選定について,数理的アプローチによる検討はあまりされてこなかった.本研究では,予測困難な感染症の発生に備え,感染症対策のための最適な交通規制実施箇所を決定し,ネットワークをエリア分割するモデルを構築する.また,モデルを実ネットワークに適用し,感染症拡大時における交通規制や検温・消毒の実施箇所を提案する.感染症対策における交通規制やエリア配分について,主に行政区域の境界が基準となっている現状に対し,新たな検討方法の適用可能性を示唆する結果が得られた.
◆関連サイト:第71回土木計画学研究発表会・春大会(https://jsce-ip.org/2025/02/01/post-7882/)