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喜多村徳昭准教授らの研究成果が、アメリカ化学会 Organic Letters誌に掲載されました。

喜多村徳昭准教授と連合創薬医療情報研究科の澤畑凌雅大学院生の研究成果が、2025年9月11日、アメリカ化学会 Organic Letters誌に掲載されました。

論文タイトル:Direct S‑Azidomethylation of Thiols with N‑Azidomethyldisulfonimides

著者:Ryoga Sawahata, Yoshiaki Kitamura*

(*Corresponding Author)

DOI: 10.1021/acs.orglett.5c03688

アジド基は、アミノ基やアミド基、含窒素複素環など、さまざまな官能基や骨格へと変換可能な有用な構造単位です。特に、アジド基に隣接する炭素に硫黄原子が結合したアジド化合物(S-アジドメチル化合物)は、生理活性分子の合成におけるビルディングブロック*として広く利用されています。しかし、S-アジドメチル化合物を対応するチオールから直接合成する手法はほとんど報告されておらず、従来は多段階の工程を経る必要がありました。

当研究グループは、N-アジドメチルジスルホンイミドを用いたチオールの硫黄原子への直接的なアジドメチル化反応(S-アジドメチル化反応)の開発に成功しました。今回、4位にトリフルオロメチル基が置換したベンゼン環を有するN-アジドメチルジスルホンイミド誘導体を用いると、様々なチオールの硫黄原子上に直接的にアジドメチル基を導入できることを見いだしました。本反応は、アミノ基や水酸基などの極性官能基が共存する基質にも適用可能であり、メルカプト基選択的に反応が進行します。さらに、本反応で得られるS-アジドメチル化合物が、O-アジドメチル化剤としても機能することが明らかとなり、今後の有機合成や分子修飾への応用が期待されます。

* 複雑な化合物を構築するための合成パーツ