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研究最前線(2014年11月掲載)

持続的な暮らしのために

教授・高木朗義(まちづくり・防災環境計画・公共投資論・インフラマネジメント)

准教授・出村嘉史(景域計画・都市形成史)

地域環境デザイン研究室

研究概要

 地域環境デザイン研究室では、都市を含めた地域における生活を豊かなものにするために、基盤となるべき環境とそのシステムのデザインに多様な側面から取り組んでいます。例えば、安全で結束の強い地域力を考える災害に強い環境づくり、地域住民と専門家が一緒になってインフラの維持管理をする新たな仕組みの提案、持続的な生活と生業を複合的に考えて地域が活性化するデザインなどを対象に、研究・実践を行っております。また、蓄積された地域の歴史を振り返って社会を成り立たせる原理を分析し、それらが目の前に立ち現れる姿として景観を読み解き、経済的視点から人々の行動を予測するなど、環境デザインのための基礎ツールの開発も行っております。

減災教室

 東日本大震災の教訓として、防災・減災のためには自助・共助が不可欠であることが再認識されました。防災計画を策定しただけでは「絵に描いた餅」と同じで地域防災力は向上せず、多くの住民は災害から免れません。地域環境デザイン研究室では、「自分の身は自分で守る」を基本として、小中学校や地域防災訓練などで『世界一受けたい減災教室』を実施しています。具体的には、小学校PTA親子教室、中学校の総合学習、特別支援学校の防災教育、高校生防災リーダー夏季研修、町民自主防災訓練、コミュニティセンター防災訓練などで、自助・共助チェックシート、シェイクアウト、災害図上訓練(DIG)、模型で学ぶ家具固定のポイント、日用品を工夫して災害を乗り切るなどの内容で、実践型研究をしています。  

 

模型で学ぶ家具固定のポイント

親子で災害図上訓練(DIG)

 

地域協働型インフラ管理

 道路舗装や橋りょうの高齢化、行政の財源不足から、インフラ管理の仕組みを見直すことが求められています。地域環境デザイン研究室では、地域の生業のために地域住民自らが労力や資金を提供し合いながら維持管理する道普請のような取り組みや公園清掃などのボランティア活動に着目し、地域住民がインフラの点検や補修を専門家と協力して実施する地域協働型インフラ管理を提案し、その実現に向けた研究を進めています。一つの事例を挙げると、岐阜県中津川市を訪れ、中津川市民と専門家と学生で、まち歩きをし、地域協働型インフラ管理の実現に向けたアイディアを提案するワークショップを実施しました。地域にでかけ、地域住民や専門家との対話からインフラ管理の新たな仕組みづくりの提案と実装を試みています。

        地域協働型インフラ管理をテーマにした地元住民とのまち歩きの様子

           地域協働型インフラ管理をテーマにしたワークショップ

地域の景観や都市の成り立ちを考慮したまちのデザイン

景観はその土地の基盤や人々の生業の姿なので、社会基盤の成り立ちと人々の暮らしへの理解が不可欠です。都市がどのように形成してきたのか、そのメカニズムが分かると、視野の広い今後の計画論理を手にすることができます。これらを研究や実践で理解をし、模型をつくるなど、まちのデザインの実践に役立てています。2013年景観開花。(コンペ)では、学生チームが「まちの間伐featuring "Re・Bone"」をタイトルに模型とポスターを作成し、佳作を受賞するなど成果をあげています。

「景観開花。」での作品発表の様子

「景観開花。」表彰式の様子

模型の制作風景