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研究最前線(2012年5月掲載)

超高強度コンクリートの開発

教授 内田裕市(材料学,コンクリート構造学)

複合構造研究室

研究概要

 最近,普通のコンクリートに比べて5倍以上の強度を有する超高強度繊維補強コンクリート(UHSFRC: Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete)が開発され,実構造物にも適用されつつあります。UHSFRCは強度が非常に高いことから,たとえば,同じ長さの橋であれば,従来のコンクリートを用いた場合より断面寸法を小さくすることができるため,軽い橋を造ることができます。
 一般にUHSFRCでは高い強度と靭性を得るために鋼繊維が用いられます。そのため,ひび割れが発生すると,ひび割れ部の鋼繊維が腐食する可能性があります。そこで,当研究室では鋼繊維にかわる繊維として合成繊維の中でも特に高強度であるアラミド繊維に着目し,同繊維を用いたUHSFRCの開発をおこなっています。

UHSFRC中の繊維の配向

 UHSFRCは高い流動性を有しており,打込み時にUHSFRCが型枠内で流動します。その結果,繊維がUHSFRCの流動方向に配向することが予想されます。一方,UHSFRCの硬化後の力学特性は繊維の配向の影響を受けることが知られており,構造物の安全性を評価するには構造物内で繊維がどのように配向しているのかを知る必要があります。これまでに,実際のコンクリート中の繊維の配向を調べる方法がいくつか提案されていますが,特殊な装置が必要であったり,非常に手間のかかる作業を必要とし,繊維の配向に関する検討は決して十分ではありませんでした。そこで,当研究室ではUHSRC中の繊維の配向を検討するために透明のモデルコンクリートを用いることで,繊維の配向を直接観察する方法を提案しています。