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工学部長メッセージ

 工学部長 植松 美彦

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 まず「工学(Engineering)」とは,「基礎科学を工業生産に応用して生産力を向上させるための応用的科学技術の総称」と広辞苑にあります.すなわち,工学とは普段皆さんが目にし,手に取るような工業製品と密接な関係にあり,工業製品というアウトプットをイメージしながら習得せねばならない学問分野と言うことができます.岐阜大学がかかげる理念には,「学び,究(きわ)め,貢献する」人材を輩出する,とあり,さらに「地域活性化の中核拠点」を目指すとあります.では,工学部とこの理念にはどのような関係があるでしょうか.
 理念の最初にある「学び」は,学生の皆さんにとって最も重要な部分です.通常,1~3年生は座学が中心の期間で,4年生になると卒業論文,さらに進学すれば修士論文を書くために,実際に手を動かして実験する期間に移行します.すなわち1~3年生の期間は,4年生以降の研究活動を行うことができるようになるまでの修行期間のようなものです.工学部のカリキュラムには,高校時代には聞いたことのない名称の科目が多数あります.各学科や各コースで組まれた授業の全てに意味があり,将来皆さんがエンジニアや研究者となって工業製品を生み出していく中で欠くことの出来ない内容です.1つ1つの科目は全て,実際の工業製品と紐付けられています.どのような「製品」を作るために必要な科目なのかがよくわからないときは,Webシラバスの情報をじっくり読んでみたり,あるいは教員に直接聞いてみたりしてください.漠然と授業を受けるよりも,実際に生み出される工業製品や設計をイメージしながら授業に臨むと,より学びが深まりますよ.もう一つ重要なこと,それは「自主性」です.皆さんは将来の夢を持って勉強し,大学へ進学する(した)はずです.ですがやはり,高校での勉強は全国共通で,まずは大学入試を突破することがどうしても主体となってしまいます.そのために,とにかく授業で教えられることを効率的に勉強すればよい,と言う受動的感覚から逃れられません.ですが大学での勉強は違います.大学の講義には自由度があり,選択する科目などある程度自分自身で設計しなければなりません.その設計に教員はアドバイスを与えることはできますが,最終的には皆さんの判断によります.その時,皆さんが将来どのようなエンジニアや研究者になるかをイメージし,自主的に学問に取り組む,ということが重要になるのです.
 次に理念にある「究め」について言うと,「研究」に「究」の字が使われているように「ものごとをどこまでも明らかにする」という意味があります.教員と学生が一体となって進める研究活動のこと,世界トップクラスの研究をすることなのです.学生の皆さんにとって,これは研究室に配属され,実際に卒業論文やそれに続く修士論文の研究に当たります.工学部の研究は,その成果が実世界でどのように役立つのか,どのような工業製品に使われるのかなどをイメージしながら行うと,きっと実り多きものになるでしょう.
 最後に「貢献する」についてお話しします.岐阜大学は「地域活性化の中核拠点」であることから,工学部で習得した知識を,東海地区の発展に役立てていただきたいのです.たとえ働く場所が外国であっても,青春時代を過ごした岐阜という地,東海という地に貢献できる何か,があるはずです.それを常に意識するようにしてください.
岐阜大学の工学部では,そのようなことを考えながら,学生の皆さんを教育するとともに,研究活動や地域貢献活動では,学生と教員が共に進んでいくことを目指しています.