2019年6月19日
題目:
フェーズドアレイ超音波探傷による閉口処理された疲労き裂の開閉口挙動の検出
著者:
小原健司(岐阜大学),木下幸治(岐阜大学)
納土武久(中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋)
小塚正博(中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋)
概要:
近年,鋼道路橋の溶接継手部に生じた疲労き裂の発生事例を受けて,き裂の補修法に関する検討が数多くなされてきている.それらき裂の補修法の一つであるき裂閉口処理手法はき裂表層を閉口させることによりき裂進展を遅延または停留させる比較的簡易的な補修法であるが,大きな疲労寿命延命効果が得られることがこれまでの研究により示されている.しかしながら,閉口したき裂の再開口メカニズムが不明瞭であることから,応急的な補修法として分類されている.閉口したき裂の再開口メカニズムを明らかにすることができれば,当該補修法を恒久的な手法として利用することが可能になると考えられ,当該手法の利用により,より効率的な補修が進められると考えられる.
本研究では,このき裂閉口処理手法を対象に,閉口処理されたき裂の再開口メカニズムを非破壊的に把握する手法の確立を目的とし,フェーズドアレイ超音波探傷を用いて閉口処理されたき裂の開閉口挙動の検出を試みた.その結果,返信エコー高さの変化から閉口処理されたき裂の開閉口挙動を捉えることが可能であり,さらには再開口メカニズムを把握できる可能性を示唆した.