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小林孝一教授,鹿野裕氏(元博士前期課程学生),六郷恵哲名誉教授が,平成27年度土木学会論文賞を受賞

小林孝一教授,鹿野裕氏(小牧市,元本学博士前期課程学生),六郷恵哲名誉教授が,平成27年度土木学会論文賞を受賞しました.
 
受賞論文:山間寒冷地におけるRC床版のASRと凍害による複合劣化の事例とその検証実験(土木学会論文集E2(材料・コンクリ―ト構造),Vol.70,No.3,pp.320-335,2014,小林孝一,鹿野裕,六郷恵哲)
 
概要:コンクリート構造物の種々の劣化過程に関して,その発生・進行のメカニズム,点検・診断,効果的な補修についての研究が行なわれ,対策が進められてきたが,この論文では,ASR(アルカリシリカ反応)と凍害の複合劣化を対象としている.
まず鋼橋のRC床版に生じた,多数の水平ひび割れを伴う劣化について調査を行っている.さらに,激しいスケーリングの原因がASRと凍害の複合劣化であることを明らかにすることで,我が国の寒冷地の構造物で散見されるこの種の実現象の解明に大きく寄与している.具体的には,この複合劣化によって激しいスケーリングが生じるのみならず低温下でも膨張が継続すること,この場合のスケーリングは凍害単独の場合と異なり塩化物の影響が少ないこと,反応性骨材が粗骨材のみであっても激しい劣化が生じること,等を明らかにしている.
この組合せの複合劣化の発生・進行メカニズムを対象とした研究例はほとんど無く,本論文の新規性が高い上に,また,連行空気の導入が劣化の進行の抑制に効果がないことを明らかにし,従来行なわれてきた対策を見直す必要があることを指摘しており,構造物の設計上,維持管理上の有用性も高い.以上から,この論文は総合的に優れたものであると判断され,論文賞の対象として相応しいと認められた.